○ドラフト制度を望む声
Bリーグファンの中から、ドラフト制度を望む声がちらほら聞こえる。その理由は、次の2点だ。
・戦力の均衡
・学生のリクルートは関東が有利
確かにこれらの不満を解消するためにはドラフト制度は有効と考えられる。
しかし、現状のBリーグではドラフト制度の導入は困難だ。
その5つの理由を説明する。
○ドラフトが実現困難な理由
理由① B1、B2の2リーグ制
知ってのとおり、BリーグにはB1とB2があり(B3は別リーグ)リーグ間には昇格と降格の制度がある。
戦力の均衡を目的としてドラフトで新人を振り分けた場合、ドラフト1位の大学のスーパースターはB2の最下位のチームに指名されることになる。
そのチームでの待遇は後述するとして、そのスーパースターはB2でプレイすることになる。B1の選手との対戦の機会はほとんどないので、日本代表入りのチャンスは少なくなる。
これは、日本代表の強化を目的の1つとするBリーグの理念から外れた事態だ。
ドラフト制度を導入するためには、B1とB2を1つのリーグに統一しなければならない。
理由② ユース制度の否定になる
ドラフト制度はユース制度と相反するものだ。
自チームのアンダーカテゴリーで、手塩をかけて育てた選手をドラフトで他のチームに奪われる・・・。こんな理不尽があるだろうか。
ドラフト制度の導入は、ユース制度の廃止を意味する。
Bリーグは育成環境の構築に力を注いでおり、ユースチームの保有をライセンス条項に盛り込んでいる今は、ドラフト制度の導入は難しい。
もし、両制度を両立させるためには何が必要なのだろうか。
思いつかん。
15歳~18歳時に所属していたクラブに対して契約金の30%に相当する金額を毎回納めるとか・・・?
NOTE
ドラフト制度を導入しているリーグの例:Kリーグ(韓国サッカー)
Kリーグは、2015年まではドラフト制度とユース制度を両立していた。(2015年にリーグが2部制になったことでドラフト制度を廃止)ドラフト時には、自分のクラブのユース選手を4人まで優先指名できるというルールがあったようだ。「自分のクラブのユース選手」の条件(在籍年数とか)は不明。
だれか知ってたら、ツイッターでもいいから教えて。
理由③ Bリーグよりも上位のリーグの存在
BリーグがNBAのように世界トップのリーグであれば問題ないのだが、Bリーグ以上のリーグが世界にはいくつかある。
ドラフト指名された選手が、もしそのチームが気に入らなかった場合、
「あwwやっぱりNBAに挑戦しますwww」
と逃げられる恐れがある。虎の子のドラフト指名権を使用したにもかかわらず誰一人獲得できないような事態になれば、制度が破綻する。戦力均衡どころではない。
回避策は、BリーグがNBAよりも魅力的なリーグになる以外無い。
NOTE
ドラフト指名後の契約条項に「海外への移籍を○年間禁止する」という項目を盛り込むのは現実的ではない。日本バスケの発展のために、NBAでプレイすることは何よりも大きいからだ。あと多分、職業選択の自由にも抵触する。
理由④ 選手の待遇の格差
NBAやプロ野球でドラフト制度が成立している理由は「どのチームに行っても待遇がそこまで大きく変わらない」からだ。
ドラフト制度の導入のためには、次に挙げる選手の待遇を均衡化させなければならない。
・給料
・コーチの質・量
・専用練習場
・試合をするアリーナ
Bリーグが均衡化できるのは、新人契約の給料だけだ(新人契約の上限460万円)。他は格差がある。
これらが均衡化されない限りは、ドラフト制度の導入は難しい。
理由⑤ 1億円プレイヤーを増やしたいリーグの思惑
リーグは1億円プレイヤーを増やして、世間に対して「Bリーグは夢のあるリーグ」ということをアピールしたがっている。
そのためには、大学のスーパースターが下位チームに指名されるドラフト制度は都合が悪い。スーパースターが資金力のある上位チームに所属するからこそ、1億円プレイヤーが生まれるからだ。
ドラフト制度の導入には、リーグが成熟しきって世間からも認知されて、子供達から憧れる存在になる必要があるのかもしれない。
○ドラフト制度の導入のために必要なもの
・B1、B2の統合
・ユース制度の廃止
・各チームの選手の待遇の均衡化
全てを整備するためにはワイ氏の見積もりで最低でも5年は必要だ。
○まとめ
むり